介護業界の現場では、急速に高齢化が進み介護需要が膨らむ一方、人手不足が解消されていないのが現状だ。その原因は、賃金が安い割に重労働という点にある。これは多くの介護職員が抱える悩みである。
ある資料によれば、介護職員の給与は全産業平均に比べて月額9万円程度低いようだ。これは、費用を抑制するために見直しが繰り返されてきた介護保険制度に構造的な問題がある、と指摘されている。またある調査では、介護ヘルパーの73%が50歳以上で、20代はわずか1%にしか至っていないという報告もある。そもそも介護ヘルパーは有効求人倍率が高く、圧倒的な売り手市場だ。
しかし、いくらでも働き口はあるのに若い人が希望しない、という構図が浮かび上がってしまっている。それにより、採用に苦慮する事業者同士で人材を奪い合い、人手が確保できずに倒産する事業者も相次いでいる。介護ニーズがあると踏んで新規参入した事業者も、高齢者をケアするという目的よりも経営力が問われるようになり、介護の理想像を追い求めているだけでは立ちゆかないのが現状のようだ。これでは、必要なサービスを受けられずに苦しむ高齢者が生まれてしまう。この状況を打開するためには、思い切った賃金引き上げなどの対策が必要だ。
例えば、新しく就職した介護士には、30万円~50万円ぐらいの給付金を国が直接支払うくらいの措置が挙げられるだろう。もちろん毎月の給与体系も改善されなければならない。介護現場で働く職員の思い切った待遇改善が、これからの日本の高齢化社会において必要不可欠である。
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