人手不足と聞くと、飲食業界や介護業界などを思い浮かべる人も多いが、帝国データバンクの2020年1月の人手不足に対する企業の動向調査によると、正社員では意外な業界がトップに君臨している。
同調査では、1位の放送に次いで2位に情報サービスを挙げ、どちらも7割以上正社員が不足していると発表した。その原因は、ネット環境の普及でテレビや新聞、ラジオ離れが進んでいることや、マスコミに多い激務なイメージが挙げられる。また、情報サービスの原因は、クラウドサービスや ウェブコンテンツなどの需要が増え、専門的な知識をもつ人の育成が追い付いていないためだ。このように、放送に代表される衰退分野と、情報サービスといった成長分野で、ともに深刻な人手不足となっている。
また、同調査の非正規社員では、よく問題視されているとおり飲食店が1位となり、不足率は7割を超えている。ローテーションでシフトを組んでいるため休みが取りづらいことや、ハードな割に賃金がそれほど高くないこと、残業代や休日手当などが出ない店もあることなどが原因だ。その後に、スーパーなどの商品小売や、繁忙期と閑散期の差が激しい旅館とホテルが続く。いずれも、労働時間などの縛りに対して賃金が見合わないことが大きく影響している。
少子高齢化で働き手が減っていることや仕事の選択肢が増えていることも、各業界の人手不足に拍車をかけている。ただ、逆にいえば労働者にとっては、人手不足で労働条件がよくなっていくメリットも。ITなど専門的な分野の業界にも門戸は広く開かれているので、新たな業界で働くチャンスといえる。
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